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「福利厚生として選ばれる金融教育~企業にもたらすメリットとは~

経営課題事例

2024-10-07

金融リテラシーの向上が、企業と個人(従業員)にもたらす利点について解説します。

目次

金融リテラシーの向上は、現代社会において重要なテーマとなっています。特に、個人が自己管理のもとで健全な経済生活を送るためには、金融リテラシーを高めることが不可欠であり、金融の仕組や経済動向等を理解することは、現代人の必須の能力であるといえます。

この記事では、金融リテラシーの向上が、企業と個人(従業員)にもたらす利点について解説します。

1.「金融リテラシー」とは?

金融リテラシーとは、資産管理、投資、借入、保険、税金など、幅広い金融知識や判断力のことで、経済的に自立した社会人になるためには必要不可欠です。

金融経済教育推進会議では、若年社会人、一般社会人、高齢者といったそれぞれのライフイベントに合わせた金融リテラシーを効率的・効果的に身に付けていくために、4分野・15項目を「最低限身に付けるべき金融リテラシー」として挙げています。

4つの分野

1.家計管理

家計の収入と支出の適切な管理方法を理解し、習慣化することが強調されています。必要なもの(ニーズ)と欲しいもの(ウォンツ)を区別し、計画的な支出を行うことが含まれます。

2.生活設計

将来のライフプランを立て、それに基づいて貯蓄や資産運用を行うことの重要性が述べられています。ライフイベントに合わせた資金計画の策定が必要です。

3.金融知識と商品の理解

預金や保険などの基本的な金融商品の理解や、金融経済の基礎知識を身に付け、適切な商品を選択できるようになることが求められています。リスクとリターンの関係や長期的な資産運用の重要性も指摘されています。

4.外部知見の活用

必要な時に専門家や信頼できる機関から助言を得て、金融トラブルを回避するスキルを身に付けることが目指されています。

※出典:「金融リテラシー・マップ」(金融経済教育推進会議)

2.「金融リテラシー」「金融教育」はなぜ必要か?

高い金融リテラシーを持つことで、計画を立てたお金の準備をすることができ、やりたいことの実現や万が一の備え(自身のケガや病気、不景気による収入減など)ができ、長期的な経済的安定と成功につながります。

子どもの頃「無駄遣いをしないように」と教わったように、大人になってからも金融リテラシーを育むことは重要です。例えば、10代~20代の新入社員には、給与管理、貯蓄の習慣化や、保険や年金の理解が。20代~30代の社員には、住宅購入や教育資金の計画、リスク管理の知識が。40代~50代の社員には、セカンドライフ(*)に向けた年金受給後の生活設計や資産管理といった知識が求められます。このように、ライフイベントに合わせた金融リテラシー教育により、適切な資産管理やリスク対策が可能となり、将来の経済的不安を軽減することができます。

また近年では、投資詐欺やフィッシング詐欺などの手口が多様化し、低年齢の被害者も増加しています。クレジットカードや電子マネー、暗号資産(仮想通貨)などの普及により、金融リテラシーの必要性は一層高まっており、金融リテラシーを高めることで、緊急時の備え、詐欺や多重債務といったリスクやトラブルから身を守ることにつながります。

*「セカンドライフ」は「退職後の生活」を意味しています。

3.企業が金融教育を行うメリットとは

企業が従業員に対し金融教育を提供することで、企業・従業員ともに、さまざまメリットがあります。

① 忙しい従業員に学ぶ機会を提供できる

金融知識の必要性は理解していても、仕事とプライベートで忙しい従業員には、新しい学びに割く時間が充分にありません。企業が金融教育の場を提供することは、福利厚生の充実や、従業員満足度の向上につながります。

② ビジネスパーソンとしてのスキル向上につながる

金融の仕組みや経済動向等を理解することは、ビジネス上においても必須の能力であるといえます。外国為替や株式市場の仕組みや、債権と金利の関係を知り、経済指標を基に国内外の景気動向を把握することは、ビジネスパーソンのとしてのレベルアップにもつながります。

③ 仕事におけるキャリア意識の向上につながる

金融教育により従業員のライフプランが具体的になることで、仕事におけるキャリアプランの具体化も期待ができます。ライフプラン、キャリアプランという将来の目標が具体的になることで、目標達成に必要なスキルや経験に気づき、それを補うための努力のきっかけや、仕事に対するモチベーション向上にもつながります。また、それにより、離職率の低下という効果も期待ができます。

④ 従業員のエンゲージメント向上につながる

経済的に漠然とした不安を抱えている従業員は、仕事に集中ができなかったり、生産性の低下を引き起こす可能性があります。金融教育を通じて、従業員が金融の仕組みや必要な知識を身に付け、安心感を得ることで、業務に集中しやすくなり、仕事へのモチベーションや帰属意識が高まります。

政府が推進する「貯蓄から投資へ」の動きや、NISA制度改正など、金融リテラシーの重要性が高まる中、企業が従業員に金融教育を提供することは、企業の成長を支えるだけでなく、従業員の幸福度を向上させ、持続的な企業運営に大きく貢献します。特に、老後の不安を抱える従業員にとって、資産運用やライフプランに関する知識は、仕事への集中度を高める上で非常に有効です。金融教育は単なるコストではなく、企業と従業員の双方に利益をもたらす投資です。従業員が長期的に安心して働ける環境を作り出すことが、企業の競争力を高めると同時に、組織全体の生産性を向上させる原動力となるでしょう。

4.日本生命の(無料)従業員向けセミナーラインアップ

日本生命では、従業員さまの各種ライフイベントに合わせた無料のセミナーを各種取り揃えております。福利厚生の一環として、従業員教育にぜひお役立てください。

対象年齢層

セミナー名

概要

全年代

年金セミナー

年金定期便のポイントをはじめ高齢社会の現状をお伝えし、公的年金制度への理解を深めます。

全年代

がんセミナー

働く世代が知っておきたいがんの基礎知識や最新情報をわかりやすくお伝えし、がんについての理解を深めます。

全世代

NISA・iDeCo・個人年金保険セミナー

近年、関心が高まっている資産形成方法について、3つの代表的な制度・商品を中心に、基本的な知識をお届けします。

10・20代

お金のキホン

社会人になった今知っておきたい社会保障制度やマネープランの基本をお伝えし、福利厚生制度への理解を深めます。

20・30代

ライフプランセミナー

将来設計に必要な資金をお伝えし、ご自身でライフプランと資金計画を立てる実践型セミナーです。

40代~

セカンドライフ(*)セミナー

老後の様々なリスクについての情報をお伝えし、年金受給額をもとにご自身でセカンドライフの収支計画を立てる実践型セミナーです。

*「セカンドライフ」は「退職後の生活」を意味しています。

日本生命では、上記以外にもさまざまな目的や年代に対応したセミナーを網羅的にご用意しています。

(無料)従業員向けセミナーのラインアップや詳細情報をご希望の方は、以下のお問合せフォームよりご入力ください。

(執筆 株式会社プラリタウン)

生24-4211,法人開拓戦略室

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ニッセイ基礎研究所 福本 勇樹 金融研究部 金融調査室長