事業を進める上で、自社の可能性を広げてくれる取引先の存在はとても重要です。また、どこかに自社の技術やサービスを求めてくれる人がいれば、ぜひ、少しでも役に立つことができればと思うものです。
ビジネスは人と人とのつながりであり、実際、さまざまなご縁がつながって、ビジネスは広がっています。
ここでは、ビジネスマッチングでどのような可能性が広がるのか、ビジネスマッチングでの出会いを今後のビジネスにつなげていくにはどうすればよいのかを、分かりやすく紹介します。
1 ニーズとニーズをつなぐビジネスマッチング
1)ビジネスマッチングの基本
ビジネスマッチングの基本は、次のように、ビジネスのニーズとニーズを結びつけるシンプルなものです。
- 「売りたい」と「買いたい」
- 「専門的な知識のある人に相談したい」と「専門的な知識を提供したい」
- 「雇用したい」と「働きたい」
- 「足りない技術が欲しい」と「技術力を提供したい」
- 「跡継ぎが欲しい」と「企業を経営したい」
今、自分たちに上記のような「◯◯を売りたい」「買いたい」「相談したい」といったニーズがあるとき、それに合った相手を紹介してもらえる。それがビジネスマッチングです。
2)思わぬネットワークが見つかるかもしれない「ビジネスマッチングサービス」
現在、世の中には、さまざまなビジネスマッチングを提供するサービス(ビジネスマッチングサービス)が溢れています。
「1時間」など時間指定で、特定の分野に詳しい専門家とマッチングしてアドバイスをもらえる相談メディアや、利用した過去の案件などからAIがマッチングしそうな案件を予測し、おすすめしてくれる仕組みなどもあるようです。
こうしたインターネットやAIを活用した「デジタル的」なビジネスマッチングサービスが増える一方で、人や機関が間に入ってつなぐ「アナログ的」なビジネスマッチングサービスにも、変わらずニーズがあります。中には、「やはり、よく知っている人から直接紹介してもらいたい」という人もいるでしょう。
デジタルもアナログも、ビジネスマッチングは、今の自分たちに必要な企業や人を紹介してくれる大切なサービスです。どちらが良いということではなく、どちらも普段から活用しておくのが理想的かもしれません。
特に、人や機関がつなぐビジネスマッチングサービスには、自分たちだけではインターネットを使っても探せない、思わぬネットワークがあるものです。どのような人たちと知り合うことができるのか、試しに一度、相談してみるのもよいでしょう。
2 ビジネスマッチングで実現できること
ビジネスマッチングで何を実現できるのか。なんとなくイメージできるかもしれませんが、具体的な事例を挙げ、改めて整理してみましょう。
1)販路を拡大する
今まで把握していなかった、自社の商品やサービスの販売先が見つかります。公的機関や金融機関が主催する展示会に出展したことをきっかけに、自社商品に興味を持った企業を紹介してもらって新たな取引が始まり、OEM製品の納入に結び付いた製造業の事例があります。
また、展示会を見に来た企業の担当者との会話の中から、自社商品の製造技術にその他の用途があることを教えてもらい、商品のラインアップや取引先の業種の幅が広がったという事例もあります。
2)原材料・商材・備品などの新たな仕入・調達先を開拓する
新たな仕入・調達先を紹介してもらうことで、原材料や備品に掛かるコストの削減や、新たな商材の取扱いを開始します。
ある小売流通業者が、ビジネスマッチングサービスを通じてレジ袋など10件以上の調達先の見直しを行った結果、販売費および一般管理費の支出に関して、約30%(2億円)のコスト削減を達成した事例があります。
3)技術・ノウハウの支援を受ける
自社だけでは開発できなかった商品を、他社の力を借りることで実現させることができます。また、例えば「トヨタ生産方式」のような効率化のためのノウハウを取り入れることもできます。
ある建材メーカーが、金融機関が主催した展示会で紹介された漆器メーカーから、人体にも安全な防水加工技術の提供を受け、和紙を使った壁用タイルの製造に結び付けたという事例があります。
4)人材紹介を受ける
特殊な知見や技能を持った専門家のアドバイスを受けたい場合、適切な人材を紹介してもらえます。
ISO認証を取得したいと考えていた精密機械メーカーが、ある金融機関から経験豊富なコンサルタントがいる経営コンサルタント企業を紹介してもらい、ISO認証にこぎつけることができたという事例があります。
5)海外進出の支援を受ける
海外進出を検討する場合、独力で進めるのは難しいものです。そこで、現地の状況に詳しいアドバイザーや、現地の提携先などの協力者を得ることで、海外進出に成功する可能性を高められます。
東南アジアへの販路拡大を目指していた機械メーカーが、公的機関が主催した商談会に参加したことをきっかけに、インドネシアの企業との戦略的パートナーシップに基本合意し、インドネシア国内で合同の営業活動を行った結果、受注に成功したという事例があります。
6)協業・提携などの戦略的パートナーを見つける
協業や業務・資本提携、ひいては事業や企業そのものの譲渡など、企業の経営戦略面でのビジネスパートナーを見つけることができます。
家屋の廃材のリサイクルシステムを開発している企業が、展示会で知り合った企業とのコラボレーションにより、車載式のリサイクルプラントの開発に成功したという事例があります。
3 ビジネスマッチングでの出会いを今後のビジネスにつなげていくには
1)やりたいこと、紹介してほしい人、対象外とする人を明らかに
誰かを紹介してもらったとき、お互いの仕事領域や話は合うものの、なんとなく次につながらない……。経営者は、こうした経験のほうが多いかもしれません。当たり前のことですが、自分たちが「今、求めていること」と、紹介してもらう人のニーズが合っていないとそうなりがちです。
例えば、販売先を紹介してもらうにしても、「とにかく今、この一度でいいのでこの商品を販売したい」のか、「すぐに大きな話にならなくてもいいので、長く付き合えるようにしたい」のかで、紹介してもらう相手は変わってきます。
SNSやビジネスマッチングサイトであれば、「今、求めていることは何か」という、いわば「ビジネスマッチングの目的」を分かりやすく言語化して公開しておけばいいでしょう。難しいのは、人に紹介してもらう場合です。
間に入って紹介してくれる人、例えば金融機関の担当者などには、機会をつくり、思いや今後やりたいこと、どういう相手と仕事を一緒にしたいか、今一番求めていることは何かを、繰り返し具体的に話しておくことが大切です。
また、「こういう人は困る」という対象外とする人も、担当者に伝えておきましょう。例えば、「世の中や社員のためにという考えのない人や、お互いのメリットを考えられない人は紹介しないでほしい」といったようにです。
譲れない大切な部分が合わない、違和感がある人とは、いくら仕事領域が合っても、仕事を一緒に進めることはできません。逆に、互いに共感、尊敬でき、「よし、やりましょう!」と経営者同士が握手することができれば、話は次へと進むのです。
2)自然体で、周りに相談しながら
ビジネスマッチングは百発百中ではありません。それこそ、“ご縁”です。過度に期待し過ぎず、背伸びし過ぎず、自然体で進めたほうがよいでしょう。
1社目との交渉、1度だけの展示会への出展、ビジネスマッチングサイトに登録した直後など、「ビジネスマッチングですぐに良い相手が見つかる!」と期待し過ぎていると、成果が上がらなかった場合に、再チャレンジしにくくなってしまいます。
例えば、ビジネスマッチングの展示会に参加する企業の中には、自社商品をPRすることよりも、他社と交流(情報交換)をして、他社がどういった商品・サービス・技術を欲しているかをヒアリングすることを重視する企業もいます。
そこで得た他社のニーズや、自社商品への反応をもとに、もともと持っている技術を転用してニーズに合った新商品を開発したり、自社商品に改良を加えたりするのです。
このように、ビジネスマッチングを現時点での販路拡大の場としてだけではなく、将来の販路拡大のための情報収集の場として捉えることも重要です。
どのようなビジネスマッチングの方法を、どのように活用するのがよいかは、経営者仲間や、人を紹介してくれる金融機関の担当者などに相談してみましょう。
日本生命でも、ビジネスマッチングサービスを展開しています。豊富な取引先ネットワークや全国の営業網を活かして、商品・サービスなどを「提供したい」人と、「買いたい」「探したい」人を幅広くマッチングします。サービスの詳細は、次のページで紹介しています。ぜひ、ご覧ください。
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以上
(執筆 日本情報マート)
生23-1473,法人開拓戦略室