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個人事業主が福利厚生費で計上できる条件と基本をポイント解説

経営課題事例

2023-04-27

「個人事業主の福利厚生費」をテーマに、福利厚生費に計上できる条件と、個人事業主向けの福利厚生費の基本について解説します。

目次

個人事業主でも、条件を満たせば、労働環境を整える費用を福利厚生費に計上して節税できます。

毎日の「食事代」や固定でかかる「住宅費」、自宅から職場までの移動にかかる「通勤交通費」、定期的に受ける「健康診断」の費用、作業服や安全靴などの購入代、資格取得や研修費用などにかかる「学資金」、内々の旅行やイベントにかかる費用について「福利厚生費にして非課税にできれば…」と考える個人事業主は少なくないでしょう。

本記事では事業経営する上で、個人事業主が知っておきたい福利厚生の基本について解説します。

今後、従業員を雇って、事業拡大を検討している個人事業主の方は最後までご一読ください。

1.家族以外の従業員がいれば福利厚生費で計上できる

会社法人を設立せず、個人で事業を経営する個人事業主であっても、家族以外の従業員がいれば、福利厚生費として各種費用を計上できます。

しかし、家族以外の従業員がいないケース、個人事業主だけが働く「単独経営」、雇用した従業員が個人事業主の家族や親族にあたる「家族経営」の個人事業主が福利厚生費に計上したとしても、非課税の条件を満たしたことにはならず、節税になりません。

更に補足すると、会社設立しても状況は変わりません。家族を役員に据えて法人化したとしても、家族以外の従業員がいなければ同じく福利厚生費に計上できません。

福利厚生費として非課税にするには「福利厚生を利用する従業員が個人事業主の家族や親族ではない」ということを前提に、次の条件を満たす必要があります。

  • 利用申請すれば一定の条件で従業員であれば誰でも利用できる「均等待遇」である
  • 福利厚生費用の金額や使い方が、国税庁が指針等で示す「社会通念上相当」である

なお、ここでいう「家族」とは、次のいずれか、個人事業主と「特別な関係がある」とされる親族を指します。

(注)「特別の関係がある者」とは、次に掲げる者をいいます。

  • イ)使用人(法人の役員を含みます。以下同じ。)の親族
  • ロ)使用人と婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者およびその者の直系血族
  • ハ)使用人の直系血族と婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者
  • ニ)イからハまでに掲げる者以外の者で、使用人から受ける金銭その他の財産によって生計を維持している者およびその者の直系血族
  • ホ)イからニまでに掲げる者以外の者で、使用人の直系血族から受ける金銭その他の財産によって生計を維持している者

引用:No.2588 学資に充てるための費用を支出したとき|国税庁

具体例として、条件を満たせば福利厚生費に計上できる「従業員への教育費用(学資金)」を挙げましたが、他のどの福利厚生に関しても、事業主本人やその親族に限定した特別な待遇は、原則、福利厚生と認めない指針を国税庁が出しています。

ただし、福利厚生が、事業主の「家族」以外の従業員も均等に受けられる待遇であった場合、事業主本人やそ「家族」の待遇分も含め、福利厚生費にすることは認められています。

2.個人事業主がおさえておきたい福利厚生費の基本をポイント解説

福利厚生費の基本として、個人事業主がおさえておきたいポイントに絞って解説します。

  • 福利厚生の前提として従業員を雇用する
  • 従業員が非正規でも条件を満たせば福利厚生費にできる
  • 福利厚生費の非課税要件を満たした福利厚生制度を用意する
  • 福利厚生を取り巻く時勢をチェックして助成金を活用する
  • 面白い福利厚生制度を導入して運営する

福利厚生の前提として従業員を雇用する

個人事業主が福利厚生に取り組むなら、まずは従業員を雇用しましょう。

そもそも福利厚生とは「従業員の待遇」について、国が労働基準法などの「法律」、あるいは法律で定めたものとは別に独自に従業員に守らせる「就業規則」として定める制度です。

福利厚生の基本原則については次のコンテンツで詳しく解説しています。
福利厚生とは?定義やメリットを経営者向けにわかりやすく解説

繰り返しの説明になりますが、事業を経営する事業主やその家族に対しては、国の定める「労働者」にはあたらないため、一般的には福利厚生費として計上し、非課税になりうる費用であっても優遇されません。

なお、従業員を雇用するにあたっては、募集・雇い入れから雇用の維持・離職まで、国のルールが定められています。

また、支援策も用意されているので活用しつつ、法令遵守して取り組みましょう。
参照:事業主の方へ ~従業員を雇う場合のルールと支援策~|厚生労働省

従業員が非正規でも条件を満たせば福利厚生費にできる

パートタイム・アルバイトなどの非正規の従業員でも、正規の従業員のように常時働いているなどの一定の労働条件を満たす場合、福利厚生を調えるのにかかった費用は福利厚生費として計上できます。
参照:短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(パートタイム・有期雇用労働法)|e-Gov

なお、正規の従業員と、パートタイム・アルバイトなどの非正規の従業員などの立場の違いによって、不合理な待遇差が見られる場合、是正する必要があります。

社員の種類と福利厚生の待遇差については次のコンテンツで詳しく解説しています。
正社員の福利厚生と待遇差がある従業員がいるとき必要な対応とは?

福利厚生費の非課税要件を満たした福利厚生制度を用意する

冒頭でも説明したように、国税庁の要件を満たさなければ福利厚生費に計上しても、非課税にはなりません。

また、そもそも福利厚生制度がなければ、当然、福利厚生費に計上できません。

従業員の社会保険や労働保険の加入をしていなければ法定福利費を計上できませんし、福利厚生制度を就業規則として整えて労働基準監督署へ届出していなければ福利厚生費に計上できない可能性があります。
参照:人を雇うときのルール(就業規則)|厚生労働省

まず、どういった福利厚生を用意すべきか、必要最低限の福利厚生について知りたい方は次のコンテンツで詳しく解説しています。
福利厚生なしの会社はない?最低限必要な福利厚生を解説

なお、福利厚生費は法律で上限額が定められているものではありませんが、ケースごとに非課税対象とする「社会通念上相当」の金額や、具体的な方法と例示が指針として出されており、それが事実上の上限額や制約にあたります。

通勤交通費、見舞金、食事補助、家賃補助、健康診断、社員旅行などの非課税条件については次のコンテンツで詳しく解説しています。
福利厚生費とは?定義や類語との違いから非課税要件まで解説

福利厚生を取り巻く時勢をチェックして助成金を活用する

事業経営において福利厚生費をうまく活用したいのであれば、まずは福利厚生を取り巻く状況をチェックしましょう。

昨今の福利厚生を大きく変えた「働き方改革」の影響力は知っておきましょう。
働き方改革を推進する福利厚生とは?取組事例やポイントを解説

一般的に、会社の規模の大小と福利厚生にかけられる費用の大小には相関関係があるため、個人事業主の場合、必要最低限の福利厚生制度になる傾向がありますが、働き方改革などの国の方針に関連して、福利厚生に関する助成金もあるので、活用を検討するのも有効です。
福利厚生を助成金で運用するのに向いている施策や制度とは?

面白い福利厚生制度を導入して運営する

福利厚生費に計上しての節税だけでなく、人材の定着や採用広報も狙いたい場合、独自性のある福利厚生制度を用意しましょう。

福利厚生のメリットの節税や人材定着、採用広報についておさえたい方は次のコンテンツで詳しく解説しています。
福利厚生のメリットとデメリットを経営者の視点で解説

従業員を惹きつけるためにすぐに始められる対策としては、導入予定の福利厚生制度を面白いネーミングにするなど工夫することからスタートしましょう。

「面白い福利厚生」を目指したい方は次のコンテンツで詳しく解説しています。
面白い福利厚生とは?企業の個性を引き出す人事制度を整えよう

また、人材の定着や採用広報の効果を高めたいなら、福利厚生制度を導入してから、そのまま放置するのではなく、定期的に利用率や利用実績をチェックし、従業員のニーズにあわせて見直しする必要があります。

福利厚生の見直し方については次のコンテンツで詳しく解説しています。
福利厚生の見直しはどう行う?時期とやり方について解説

福利厚生のトレンドをおさえるのも有効です。
福利厚生のトレンドは従業員個人の利益から企業を成長させる力へ

大きな潮流として「従業員の仕事と生活の両立」をサポートする動きがある福利厚生制度が求められていることはおさえておきましょう。

例えば、リモートワーク(テレワーク)の導入による働き方や、休み方を考えたワークライフバランスは重要です。

福利厚生におけるリモートワーク(テレワーク)については次のコンテンツで詳しく解説しています。
リモートワークを福利厚生に導入する方法と在宅勤務支援策を解説

福利厚生と休暇については次のコンテンツで詳しく解説しています。
福利厚生の休暇とは?種類から週休3日制まで基礎知識を解説

(執筆 株式会社SoLabo)

生22-6589,法人開拓戦略室

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