記事サムネイル

福利厚生が充実している中小企業とは?福利厚生のつくり方も解説

経営課題事例

2022-12-19

「中小企業の福利厚生」をテーマに、中小企業向けの福利厚生があるのか、中小企業が福利厚生を充実させるにはどうすればよいか、経営者向けに解説します。

目次

企業の福利厚生は、従業員の満足度や採用活動などで重視される傾向が見られます。

働き方改革など社会情勢の変化から、従業員は多様な働き方ができる福利厚生を必要とするため、中小企業は特に福利厚生を検討する際は従業員のニーズの把握が重要です。

本記事では、中小企業向けの福利厚生はどのようなものか、制度を用意するために何が必要なのかをご紹介します。

1.中小企業向けの福利厚生はあるのか?

中小企業向けの福利厚生は「従業員のニーズや社風など自社の特徴にあわせて用意する制度や施策」と言えます。

何故なら、中小企業の福利厚生にかける費用は、大手企業と比較すると少なくなる傾向があるため、大手企業に見られるような定番の福利厚生を幅広く用意することが難しいからです。

そのため、中小企業は特に従業員のニーズを調査する必要があります。

従業員のニーズや社風にあわせた中小企業の福利厚生の例は次のとおりです。

業種

導入事例

飲食サービス業

自己研鑽の意欲が高い社風から、育児や治療だけでなく「就学目的でも利用できる時短勤務制度」を用意。

スポーツ用品製造販売業

従業員がスポーツやレジャーを楽しめるよう連続2週間の「長期連続休暇を取得できる制度」を導入。

ギフト販売サービス業

出産後に早期の復職を望む社員の要望に応えて子と一緒に出勤可能な「子連れ出勤制度」を導入。

着ぐるみ製造業

自由な時間を自己研鑽に充てたい社員が多い社風から「アート助成金」を用意し、美術館などのチケット代を補助。

清涼飲料水製造業

工場勤務者の残業時間が多い実態から、勤務制度を見直した結果、工場勤務者の10時間勤務2交替制で「週休3日制」を導入。

参照:働き方改革 特設サイト CASE STUDY - 多様な休暇制度 | 厚生労働省

そもそも中小企業の定義とは?

中小企業の定義は中小企業法により、業種ごとに「資本金の額又は出資の総額」や「常時使用する従業員の数」いずれかを満たしているかで判断されます。

中小企業の定義

業種

資本金の額又は出資の総額

常時使用する従業員の数

製造業、建設業、運輸業その他の業種

3億円以下

300人以下

 

卸売業

1億円以下

100人以下

サービス業

5000万円以下

100人以下

小売業

5000万円以下

50人以下

参照:中小企業法|e-Gov

なお、中小企業法の「常時使用する従業員の数」は、中小企業庁の公式サイト(*1)で労働基準法第20条の規定に基づく「予め解雇の予告を必要とする者」とされています。

パートやアルバイト、派遣社員、契約社員などが「常時使用する従業員の数」に含まれるかは、従業員の労働時間や正社員の雇用状況により範囲が異なります。そのため、労働基準法(昭和22年法律第49号)の条文をもとに判断します。

例えば、2カ月以内の期間を定めて雇用するアルバイトやパートは、「常時使用する従業員」には含まれません。また、会社役員や個人事業主も「予め解雇の予告を必要とする者」ではないため、「常時使用する従業員」に含みません。

ただし、2カ月の期間を定めたアルバイトやパートの雇用期間が2カ月を超えた場合は、常時使用する従業員に該当します。

なお、本記事では「中小企業」と表記する場合は、中小企業法の定義に該当する会社のことを指します。

(*1)参照:中小企業庁ウェブサイト - FAQ「中小企業の定義について」|中小企業庁

2.中小企業は従業員が求める福利厚生制度だけに絞る

中小企業は、従業員の求める福利厚生を調査し、会社の社風に合う福利厚生に絞って用意しましょう。

一般的に、従業員のニーズが高い福利厚生は次のとおりです。

従業員のニーズの高い福利厚生

  • 人間ドック受診の補助
  • 慶弔休暇制度
  • 家賃補助や住宅手当の支給
  • 病気休暇制度(有給休暇以外)
  • 病気休職制度
  • リフレッシュ休暇制度
  • 有給休暇の日数の上乗せ(GW、夏期特別休暇など)
  • 治療と仕事の両立支援策
  • 慶弔見舞金制度
  • 法定を上回る育児休業・短時間制度

引用:令和2年版厚生労働白書-令和時代の社会保障と働き方を考える-(本文) 全体版 図表1-3-35|厚生労働省

自社の従業員が求める福利厚生を用意するためには、従業員の働き方や余暇に関するニーズの調査が必要であり、調査方法は、従業員満足度の調査でも行われる、従業員への「インタビュー」や「アンケート」などがあります。

例えば、アンケート調査であれば、従業員のニーズを調査するためにアンケートを2回実施します。

1回目は、必要なものや困っていること、仕事や余暇で重視したいことなどのアンケートを実施して従業員の求める制度や悩みを調査します。

2回目のアンケートでは、集めた意見をもとに「はい・いいえ」で応えられる形式の質問を中心としたアンケートを作成し、従業員のニーズを詳細に分析します。

2回のアンケート調査から、従業員のニーズを絞り込み福利厚生を設計します。

また、既存の福利厚生を見直すには、制度の利用実績がある従業員へのインタビュー調査で利用してみた感想や利用する時に悩んだことがわかれば、既存の福利厚生の改善につながります。

福利厚生を見直す方法については次の記事で解説しています。
福利厚生の見直しはどう行う?時期とやり方について解説

3.中小企業が福利厚生を充実させるには?

中小企業が福利厚生を充実させるには、従業員ニーズのある福利厚生を実施するための予算の確保や運用体制の整備などが必要になります。

福利厚生の予算は、一般的に企業の事業資金から算出します。そのため、福利厚生の導入を検討する際は、従業員ニーズから福利厚生を絞りこみ、福利厚生の予算を計画する必要があります。 

なお、中小企業向けの福利厚生を用意する場合、助成金を活用できる可能性があります。

福利厚生に活用できる助成金については次の記事で解説しています。
福利厚生を助成金で運用するのに向いている施策や制度とは?

他にも、福利厚生の内容によっては、導入するために労務管理などを含む運用体制の整備が必要です。

例えば、フレックス勤務制度や時短勤務制度などの福利厚生を用意した場合、いわゆるフルタイム中心の働き方だったものを、従業員が勤務時間を選択して働く運用に整備する必要があります。

なお、福利厚生を充実させるには、福利厚生のアウトソーシングも1つの手段で、自社の人員をそれほど割くことなく福利厚生の充実を図れます。

ただし、福利厚生のアウトソーシングは、企業の個性や成長戦略につながりにくいというデメリットがあり、導入を検討する際に認識しておく必要があります。

福利厚生のアウトソーシングについては次の記事で解説しています。
福利厚生のアウトソーシングとは?市場規模と種類とメリットを解説

(執筆 株式会社SoLabo)

生22-5521,法人開拓戦略室

関連記事

記事サムネイル

福利厚生の見直しはどう行う?時期とやり方について解説

「福利厚生の見直し」をテーマに、福利厚生を見直す必要性や、見直しの時期と方法について経営者向けに解説します。

記事サムネイル

福利厚生を助成金で運用するのに向いている施策や制度とは?

「福利厚生と助成金」とテーマに、助成金で福利厚生を運用するメリットとデメリット、助成金で運用できる福利厚生制度について、経営者向けに解説しま...